ファイナンシャルプランナーの役割とは

中立的なコンサルティング

・総合的提案活動

 人々にはいろいろな悩みがある。立場や働く形態によっても違ってくるのだが、例えば2024年1月から制度拡充されたNISA制度についていえば、「これまで資産運用していなかったがしないとまずいのではないか?ただどうすればいいかわからない」といったこと。こうした「相談」に対して「目的の明確化」「現状把握」「課題分析」「改善提案」して「目的達成」を行うことが一連のコンサルティングになる。

 顧客の相談は「NISA」についての資金運用についてであった。ここでFPとして注意しなければいけないのは、この相談は顧客の家計やライフプランのほんの一部分にスポットを当てた相談であるということだ。

 FPの役割はその相談から家計やライフプランまで見極めて総合的な提案に派生させることにある。そうした対応が潜在ニーズを掘り起こし顕在ニーズへと変化させる。また、金融リテラシーの向上を通じて、無用なトラブルや貧富格差を是正することにもつながると考える。

・信頼関係

 信頼関係なしにコンサルティングはできない。それにはきめ細やかな対応が一番だ。相談段階では親身になって聴く姿勢、提案の時には相手の状況を考慮した最善の方法の提示や複数のプランの提示、その後のフォローも大切である。

 (※筆者自身は銀行の社内FPであるため、正直そこまではできていない。スポット的な相談への対応と自社商品のクロスセルがメインになっている。自社商品に自信があれば顧客のためだと思っているので問題はないし、実際それしか提案できない。それがリーマンの使命だから仕方がない。使命の達成は会社の理念の広がりにつながる。

 じっくり丁寧に相談にのって総合的なコンサルティングをすることは理想だ。間違っていない。筆者もそうであるべきだと思うし、せっかく得たFP資格をフルに活かしたいとも思う。ただ、リーマンは大変で、いろいろやることもあり残念ながら最低限の知識を小出しにすることしができていない。一方、「時間があれば」は理由にならない。時間がなくても即座にそして、少しでも顧客の潜在ニーズを顕在化させ、実りあるライフステージを歩んでもらいたい。だからこうして「知識(主に金融・経済の情報誌・実務本等)」をブラッシュアップして、相談が来たときやアプローチをかけるときに備えるようにブログを活用することを決めた。なので実務経験豊富な独立型FPと比べると説得力には欠けるかもしれないが、「知識」にはFPが行うべき正しい道筋が記載されている。もちろん私も社内では資金運用(NISA、iDeCo、預貯金など)や相続、住宅ローン、個人の負債整理、セミナーなど実務経験はもっている。)

立場の違う相談者への対応のポイント(箇条書き)

個人事業主・商店主

・事業形態は「経営者」と「その家族」が従事しているのが一般的。

・事業主の所有している資産は事業関連資産が多い。

・事業の後継者、承継、相続税、遺産分割などリタイヤ後を見据えた対策の相談。これに関しては事業主本人だけではなく家族のライフプランにも影響を及ぼすことから、それぞれの意思を確認することが大切。

・事業に関する最新の税制度への関心が高い。

サラリーマン(会社員)

・自社株がある場合(法人)、自社株評価や出資金評価の把握が必要 →事業承継の時に自社株を贈与または譲渡する際に影響あり。

・商店主の場合土地は借地のケースが多い。土地の取り扱いについて知識が必要。

中小企業のオーナー(法人)

・事業承継や相続への関心が高い。資産管理については会社の資産と個人の資産とを明確に分けることからはじまる。

・事業承継においては、自社株対策(自社株評価、評価減方法、承継時の譲渡or贈与など)、不動産の整理

・オーナー個人の相続対策

・事業の税負担への対策(法人税と所得税)

・働く業種や会社の制度、将来設計は人それぞれ。ライフイベント(就学、就職、結婚、出産、子育て、教育、住宅、リフォーム、退職、老後、資金援助、介護、相続、病気、葬式など)ごとに個別のニーズが発生する。

・ライフステージの全体像をイメージしながら、それぞれのライフイベントへの備え・対策を提案。

・まず家計をみること。家計管理は現状把握の第一歩。一時的な支出に注意。変動費・固定費の把握も。

注意点

・上記以外にも、医師、農家、地主などさまざまな形態の相談者がいる。

・それぞれに決まった形はなく、資産・負債状況も様々。

・相談時点での最良な提案は永続的に有効ではなく、環境の変化に応じて定期的な見直しが必要。

・相談者が何を求め、どういうライフデザインを描いているのかが最も重要。潜在的なニーズやリスクの見落としを丁寧に拾いあげ、相談者自身が主体となって人生を歩めるようなサポートを心がける。

まとめ

ファイナンシャルプランナーは独占資格ではなく、資格を持っていなくても名乗ることができる。ただしそれを生業として生計を立てるためには、相談者からお金をもらわなくてはならない。日本人は相談に対して相談料を支払うという文化がないから、なかなか生計は立てられないのが実態ではないだろうか。だから目に見える成果として、保険や金融商品などを販売して手数料をもらうタイプが多い。銀行や不動産、証券、保険業ではFP資格を持っていいる人を社内FPとして育ており筆者もその一人であるが、実際に「人生」を相談しに来る人はほぼいないし、キャッシュフロー表を作ってライフプラン提案をする時間なんてない。みなその時点時点で不安なことを相談しに来て、我々もその時点時点の不安に対処する「商品」を契約してもらうのだ。でもやっぱりファイナンシャルプランナーであるならば、人生におけるライフイベントに対処するための知識くらいはつけておかなければいけないと思う。

人生は人それぞれである。ファイナンシャルプランナーがまずやるべきことはできるだけ多くの相談者のパターンのキャッシュフロー表を作成し、具体的にどんなイベントがあって、どんなニーズがあって、どんな備えや対策、提案ができるのかをマスターすることではないかと思う。一人として同じ人生はないのだから、パターンを訓練していけばおのずとファイナンシャルプランについての幅広い知識について基本・応用が身につくような気がする。それが真のファイナンシャルプランナーである。

相談者が主人公。それを支えるファイナンシャルプランナー。

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