キャッシュフロー表の作成意義

キャッシュフロー表はFPとして形にできる商品の一つです。現在では様々なアプリや無料ソフトを活用して簡単に作成することができます。ただ、それには正しい情報をインプットする必要があるのです。
もしも、支出を見落としていたら?
インプットした情報に基づいてその後何年もの収支計画を確認するわけですから、大きなずれになってしまうのは明白でしょう。それをもとに生活を組んでも何の意味もありません。ミスリードは危険なのです。
ではどうすれば本当のキャッシュフロー表を作成することができるのでしょうか。
キャッシュフロー表を作成するためには、まず相談時点での単月の収入と支出を洗い出す必要があります。その時に活用するのが家計収支表です。家計収支表には収入と支出の項目が細かく分けられており、それらをチェックしていくことで現在の家計状況が把握できます。年1回の支出でも12で割って単月に反映させることで、毎月の実質の負担感を表すようにしましょう。
家計はつまるところ、毎月が黒字であれば貯蓄ができていることになります。家計収支表で黒字が確保できているのであれば日々の生活に大きな不安を持たずに生活ができることになります。ただし家計を人生単位で見たときには、今後必要な資金がいくらいるのか把握しておくことが大切で、キャッシュフロー表はそれを見通すツールとして最適なのです。収支に変化をもたらすイベントが生じたときにどのようにバランスが変化するのか確認し、対策を打つためのツールとも言えます。
話がそれましたが、相談時点の単月の収支はキャッシュフロー表の起点となります。単月の収支に12を掛けた数字が年間の収支になるからです。キャッシュフロー表は最初から年次ベースであるためこうした順序を踏むことが大切です。キャッシュフロー表の構成は端的に言えば、当初の単月収支にその後の収支変化を肉付け(肉付けと言ってもライフステージによって増えることもあれば減ることもある)していく作業ですから、キャッシュフロー表を作成するためには、まず単月の(年数回の収支も加味した)収支を算出することから始まるのです。
キャッシュフロー表(将来の収支)は相談者ごとのライフイベント(人生の選択)によって大きく影響を受けます。働き方を変えたなら、年金などの社会保険にも影響がありますし、結婚の有無や子供の数、離婚や病気、事故や災害、死など自身のみならず家族のタイミングを測り切ることはできません。だからこそ将来のイベントを可視化し、心構えを持たなくてはならないのです。キャッシュフロー表はそうしたイベントを表面化させ、対処能力を向上させる機能も持っています。
収支に変化が起きたときには適宜キャッシュフロー表を見直して柔軟に対応していくことが肝要です。一人として同じ人生がないからこそ、ファイナンシャルプランナーには相談者に最適な提案ができるような知識と全体を俯瞰したアドバイスが求められるのです。